なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

拘置所で朝日新聞が読めない件

「朝日読めないのは違憲」か? - なるしす日記
 ずいぶん前にこの日記で取り上げていた裁判の判決が判例時報という雑誌(1993号53頁)に出ていました。
 事案は、大阪拘置所では読売か産経のどちらかの新聞しか読めず、朝日新聞は自分で購読することができない扱いになっているが、その扱いは違法であるというものです。大阪地裁は、アンケートの上位2社を採用したもので、これ以外の購読を認めると事務量が煩雑になるので、やむを得ない制限だと判断しました。
 事務量というのは、主として、内容の検査や不都合な箇所の墨塗りの手間を言うようですが、判決は、過去5年間に、新聞記事の墨塗りをした事実はないと判断しているのであって、まったく理由になっていないように思います。
 ブログ界には、この判決を受けて、「朝日新聞のような偏向した新聞は読ませない」とする拘置所(国)の配慮じゃないか、という国に好意的な意見が多いのですが、あながちそうした意見も的外れではないのかもしれません。
 ちなみに、何度アンケートをしてみても、読売の人気は落ちないだろうし、産経は安いというメリットがあるので、朝日が上位2社に食い込むのは簡単ではなさそうです。