なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

嘆願書

 刑事事件で、被告人サイドで嘆願書を集めることは少なくない。
 被告人にとって同情すべき事情があるときや、被告人が名士であるときなど、署名活動などが始まって、それが弁護側の証拠として法廷に出されることがあります。
 しかし、嘆願書や署名に限りませんが、こうした証拠書類を裁判所に証拠として出すためには、反対当事者(この場合には検察官)の同意が必要となります。
 ところが、検察官は、こうした文書については、「不同意」にすることが多いのです。
 理屈の上では、「こうした署名を本人がしたのかどうか確認できない」(偽造の疑いがある)ということになるのでしょうが、わざわざ偽造した署名を集めることもしないでしょう。検察官の嫌がらせではないかと思うこともあります。
 しかし、他方、こんな記事もあります。

 広島市で2005年11月、小学1年木下あいりちゃん(当時7歳)を殺害したとして殺人罪などに問われたホセマヌエル・トレス・ヤギ被告(35)の控訴審初公判(8日、広島高裁)を前に、あいりちゃんの父親、建一さん(40)が5日、死刑判決を求める7022人分の署名を広島高検に提出した。高検側は署名を証拠申請する方針。

http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20071105p302.htm

 珍しく、検察側が署名を提出するようです。まさにダブルスタンダード
 今度、弁護側が出そうとする嘆願書のたぐいを検察官が不同意にしようとしたら、是非、このケースを引き合いに出し、同意をするように求めることにしたいと思います。