なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 元少年、死刑か回避か=光市母子殺害、差し戻し審開始−広島高裁

 山口県光市で1999年、会社員本村洋さん(31)の妻弥生さん=当時(23)=と長女夕夏ちゃん=同(11カ月)=が殺害された事件で、殺人などの罪に問われた当時18歳の少年だった元会社員の被告(26)の差し戻し控訴審第1回公判が24日、広島高裁(楢崎康英裁判長)で開かれる。最高裁は昨年6 月、「死刑回避の十分な理由は認められない」と一、二審の無期懲役判決を破棄した。死刑の公算が大きいとみられ、高裁の判断が注目される。
 検察側は死刑を求刑しており、差し戻し審でも「年齢や成育環境などを考慮しても、極刑はやむを得ない」と主張する見通し。
 一方、弁護側は、殺人罪ではなく傷害致死罪にとどまると事実誤認を訴え、刑の減軽を求めている。元監察医の鑑定書や、弁護側独自の情状鑑定などの証拠採用を請求する方針。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070522-00000076-jij-soci

 24日の午後から裁判があるのですが、「当日は混雑が予定されるので、車での来庁は控えられたい」という裁判所からのお願いが弁護士会にありました。
 その時間、高裁の別の裁判があるので、高裁に行かねばならないのですが、この混雑に遭遇することになりそうです(^^;)。
 テレビでは、本村さんの記者会見の様子が放送されていました。いつもよりは冷静に話しておられるように見えましたが、弁護団批判の部分は「かみ合わない議論」のような気がしました。彼は、21人の弁護団が組まれたことについて、「死刑廃止プロパガンダとしてやっている」と非難しています。この事件の争点は、まさに量刑として死刑と無期とどちらが適切か、というところにあるのですから、死刑廃止を訴えている弁護士が弁護団に参加するのは当然の流れです。この事件を素材として(という言い方は語弊があるかもしれませんが)、死刑のあり方について世に問うということを弁護団が考えたとしても、それを非難するのは筋違いではないかと思いますよ。
 彼は評論家的立場でそのような批判をしているのではなく、家族を殺された被害者として発言をしているものです。そうしたバックボーンを考えると、弁護団を非難したくなる気持ちはわからないではありません。ただ、刑事裁判の目的は、被害者の感情を慰謝、満足させるためにあるのではなく、被告人に対して適切な刑罰を課すというところにあるものです。弁護団もそうした目的で行動しているのだということを、分かってもらいたいところではないでしょうか。
 ちなみに、ぼくは弁護団への参加を求められましたが、断りました。