なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

ヤメ検の流儀

 同期の検察官が3月末で退官して故郷で弁護士をやるそうです。
 どんな事情かは、彼からのメールでははっきりしませんが、親の面倒を見るとか、そんな年なのかもしれません。
 いわゆるヤメ検さんが、どのような弁護士を目指すのか。大きく分けると二つの道があります。
 一つは、検事時代の知識や人脈を最大限に生かして、刑事事件で活躍する道。「もと特捜部検事」なんて肩書きで、某もと大物経済人の弁護人なんかをやったりするのがこのパターン。地方ではそんな大物の依頼者はなかなかいませんから、下手をするとヤクザの顧問チックな位置づけになる人も少なくありません。
 逆に、刑事事件からすっぱりと縁を切って、民事事件専門に生きる道も。いわく、「やめてからも刑事事件にかかわることは、公平さを疑われることになる。それは検察庁にとっても、自分にとっても利益にならない」というもの。こうした弁護士の場合、刑事事件の依頼があっても、断ってわざわざ若手の別の弁護士を紹介したりします。
 どちらがいいのか、それは本人の考え方でしょう。ですが、ぼくは後者の生き方に共感を覚えますね。「もと検事」の肩書きで勝負をするような弁護士にはなって欲しくないし、検察庁や裁判所も、それで事件の見方を変えることがあるなら、それはものすごく不当なことです。
 彼が地元で信頼を得られる弁護士になってくれるよう、弁護士の先輩として(人生では彼のほうが先輩だけど)、心配&期待をしています。