なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 判検交流と弁護士任官

 まずは、こちらのニュースをご覧ください。

 痴漢事件の裁判、冤罪(えんざい)をテーマにした映画「それでもボクはやってない」を制作した周防正行監督(50)が27日、痴漢事件で無実を訴え続けてきた男性被告(64)に判決が言い渡された東京地裁を訪れた。

 懲役1年10月(求刑懲役3年)の実刑を受けたが、担当が東京地検検事から転じた白坂裕之裁判官だったことから、周防監督は「訴追側が裁くなんて。(判事らと検事が人事交流する)判検交流は不公平だ」と述べ、冷静な口調で「公平にこだわる司法がよくこんなことをやる」と批判を続けた。

http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20070227-OHT1T00139.htm

 実は、このニュースを取り上げていた朝のワイドショーで、コメンテーターの大谷さんが次のようなことを言っていました。
 曰く、「判検交流の問題点は昔から言われている。ただ、これからは弁護士任官の時代だが、逆に被告人を擁護する側の弁護士が裁判官になると(被告人に甘い)逆の判決が出ることにもなる」と。
 さすがは大谷さん。ツボを押さえています。しかし、彼は重大な点で誤っています。
 それは、「任官をした弁護士出身の裁判官は、刑事裁判をやらせてもらえない」ということです。少なくとも、現在推進されている弁護士任官制度(10年程度の経験のある弁護士を裁判官に登用しようというもの)で任官した弁護士出身裁判官は、ほぼ例外なく、破産や民事事件などに関与するだけで、刑事裁判を担当させてはもらえません。
 だから、大谷さんの心配はまったくの杞憂なんです。
 刑事裁判をやらせてもらえるなら、σ(^^)も迷わず任官しますよ。そして、このおかしくなった刑事司法に風穴を開けてやりたい・・・。