なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

麻原の控訴却下棄却について

 先の光市事件では弁護人をやや擁護するかのようなエントリをあげましたが、この麻原事件については、それほど弁護団に同情はしかねますね。
 というのは、たとえ麻原の訴訟能力に問題があると仮定しても、弁護団は、そうした問題を織り込んだ控訴趣意書をもっと早期に作れたはずだし、それを裁判所の指定した期限内に出す機会もあったわけです。それを出さなかったのは、やはり弁護団というか麻原本人の選択なのですから、こういう結果もやむを得ないと思いますね。
 ただ、この高裁の裁判長のやり方は、姑息といえば姑息。却下棄却決定自体も、もっと早くやればできただろうに、よりによって、弁護団が「28日に趣意書を出す」といったその前日に、慌てて出すこともなかろうと思いますよ。裁判所自身も迷走していると言ったら言い過ぎでしょうか。
 同様に、この裁判所は、麻原の精神能力を確認するという名目で、勝手に麻原に面会しに行ったり、スタンドプレーも目立ちました。これがもっと丁寧な訴訟指揮をする人であったなら、もっと理解が得られたのだと思いますけど。
(追記)
 「却下」じゃなくて「棄却」でした(刑事訴訟法386条1項1号)。