なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

オウム事件と弁護士

 オウム事件と弁護士とは切っても切れない関係にある。いうまでもなく、ひとつは坂本弁護士一家殺害事件です。僕達は、まだその事件が「弁護士一家失踪事件」などと呼ばれているころから、街頭で情報収集を求めるビラ配りをしていました。坂本弁護士がオウムの事件を熱心にやっているさなかに忽然と姿を消したことで、僕達は、その原因がオウム側にあると確信していました。事件の相手方に襲われる、ということは、それまで全くなかったことではないにせよ、やはり強い衝撃を与えました。弁護士と警察の仲が悪いのは、ずっと以前からのことですが、神奈川県警が坂本弁護士事件の捜査をほとんどしなかったのは、やはりそれが弁護士だからという理由もあるのではないか、と今でも思います。
 それから、もう一つは、オウムにも青山弁護士という信者がいたこと。当時、司法試験合格者は1年で500人前後しかおらず、今のように多くの人材が弁護士になる時代ではありませんでした。そのような中で、カルト教団の顧問になる弁護士がいるというのも驚きなら、その教団の信者となって教団で重要な地位に就くというのも、これまた信じられないことでした。まして、教団内で犯罪を犯すことになったとは。彼はいま、どこで何をしているのだろうかとも思います。
 このように、オウム事件は、僕達の心にいつまでも引っかかる痛みとなっています。麻原弁護団の活動は、それはそれで間違っているとは思わないけれど、弁護団が、こうしたオウムと弁護士の関係を忘れてしまうことがないよう、そっと願っています。