なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

東京高裁の不当ないいがかり

 例の松本弁護団に対して、東京高裁が弁護士会に処置請求をしたとのこと。
 この制度は、いわゆる公安事件や労働事件など、1960年代の「荒れる法廷」時代の:名残だったものが、最近、また注目されるようになってきたものです。
 今回は、裁判所が「審理の迅速な進行を妨害した」との理由で処置請求をしたとのことですが、ちょっと疑問です。
 というのは、弁護団が控訴趣意書を提出しなかったことによって、松本被告の控訴は棄却されており、「審理の迅速な進行」は全然、妨害されていないからです。むしろ、控訴趣意書を提出しなかったことによって、結果的には、法廷を一度も開くことなく棄却になっているのですから、「審理の迅速な進行」に結果的にせよ貢献した形になっています。
 換言すれば、弁護団には、控訴趣意書不提出という理由で、すでに重大なペナルティーが与えられています。不提出が故に公訴を却下した裁判所が、なぜ「審理の迅速な進行を妨害した」などという理由で処置請求を申し立てるのか、よく分かりませんね。