なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

ホリエモン逮捕について(続き)

id:branchさんやid:agedさん、山田さんからいただいたコメントを踏まえて、さらに考えてみた。
1 みんなが似たようなことをしているとしても、それが抗弁にはなり得ないのでは、という指摘はもっともだと思います。ぼくもホリエモンのした行為に違法性がないとは(報道を前提とする限り)思わないし、証券取引法違反にあたるのはやむを得ないと思う。
また、ライブドアは常に世の中から注目されてきた会社であるし、ホリエモン自身も政界に足を踏み入れようとしたことなど、好むと好まざるとに関わらず、単なる会社経営者という域を超えた存在になっていたことも確か。
2 しかし、そういう違法行為があったとして、それがわずか1回の事情聴取だけで逮捕され、おそらくこれから20日間、あるいは再逮捕などがあればもっと長期の身柄拘束を受けなければならない理由になるだろうか。昨日も姉歯ヒューザーの例を出したけれど、悪質なことをしたにもかかわらず、逮捕さえされない人物はごまんといる。
証券取引法違反の事実があれば、上場廃止を含めて厳しいペナルティを受けることになるし、そうした制裁で充分ではないかというのは甘いだろうか。あるいは、刑事罰をかすることがやむを得ないとしても、在宅での取り調べではだめなのだろうか。
マスコミは、「六本木ヒルズの豪邸から拘置所へ」などと天国から地獄に落ちたように騒ぎ立てる。実際に拘置所(とりわけ東京拘置所)というところはひどいところです。そこに入れなければならない理由はあるのだろうか。
3 ライブドア株の問題にしても、ちょっと疑問がある。
ライブドアは、例の近鉄買収の際にも、「本業が何かわからない」とか、「合併で大きくなったように見えるだけ」とかいろんな議論がありました。つまり、ライブドアというのがヌエ的な存在で、胡散臭い雰囲気を多分に持ち合わせた会社であるということは、堀江社長自身の言動と相まって、投資家の間でも十分に周知されていたのではないかとも思います。
なので、今になって「裏切られた」的な発言をするのもどうかと思います・・・。
にもかかわらず、市場の信頼を傷つけたなどと声高に言われても、ライブドアがそんな(公明正大な)会社ではないということくらいわかっていたでしょ、ともいいたくなる。
つまり、伝統ある東証1部上場企業ではなく、学生上がりのいわくつきのIT企業が行ったことだということからすれば、それほど驚くに値しないし、そうしたリスクも織り込み済みではないかと思う節もないではない。
4 ただ、そうはいっても、違法行為のある以上、捜査をすることは当然だし、特捜部の行動をスタンドプレーだとまで酷評するつもりはない。ただ、いつまでも古い話を持ち出して恐縮だが、金丸信を逮捕しなかったことから始まって、この特捜部はどこかおかしくなっていると言わざるを得ない。例の安田弁護士事件にしてもそう。あれこそ、本来は逮捕しなくてもいい事件だったはず。
つまり、検察庁に対する信頼感がなくなっているところに、こうした事件を突然検挙するものだから、どうしても本件についても検察庁の動きが気になるのだと思う。
ホリエモンを検挙したことで満足しているとしたら、それは特捜部に対する信頼を高めることにはならないと思う。
中途半端だけど、いまはとりあえずこの辺で。