なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 4刑務官に有罪判決、1人無罪 名古屋刑務所革手錠事件

 名古屋刑務所(愛知県三好町)で02年、受刑者2人が革手錠付きベルトで腹部を締められて死傷したとされる事件で、特別公務員暴行陵虐致死と同致傷罪に問われた副看守長の前田明彦被告(45)ら刑務官5人に対する判決公判が30日、名古屋地裁であった。伊藤納裁判長は、受刑者の死傷原因を「刑務官が革手錠のベルトをきつく締めたため」とし、革手錠の施用は「苦痛を与えて従わせ規律を維持する目的だった」と認定。前田被告に懲役3年執行猶予5年(求刑懲役5年)など4人を有罪とする一方、同致死罪に問われた看守の佐藤孝雄被告(29)(同懲役2年6カ月)に無罪を言い渡した。弁護側は控訴する方針。

http://www.asahi.com/national/update/0330/NGY200703300003.html

 無罪判決については、事情がよく分からないので、今回はノーコメント。
 問題は、有罪が認定された刑務官の量刑にあると思う。
 「苦痛を与えて従わせ規律を維持する目的」なんて言語道断ですよ。これが許されるなら、学校でも体罰はやり放題だし、普通の職場でも規律を守らないヤツはリンチしても構わないということですよね。
 つまり、そういう言語道断の目的のために、「刑務官が革手錠のベルトをきつく締め」、その因果関係で受刑者が死亡したと裁判所は認定したわけです。
 だったら、普通の(?)リンチ殺人とどこが違うのでしょうか。殺意がないとしても、悪質な傷害致死罪ですよ。そして、法令を遵守すべき立場にある特別公務員がそうした悪質な行為に及んだ。そうだとすれば、普通の傷害致死罪よりも、より厳しく断罪されるべきであって、執行猶予付きなんてあり得ないですよ。
 こういう量刑がまかりとおるなら、世の中に起きる傷害致死罪のほとんどは、執行猶予がつけられるべきです。親が子供のしつけのために、傷害致死に及んでも執行猶予。不良仲間がけんかして死んでしまっても執行猶予。
 ホリエモンが否認したら、反省がないと指摘されて実刑。この人たちは、やりたい放題暴力を振るって人を死に至らしめておきながら、裁判では否定して争い、それで有罪認定されたのに執行猶予。
 これが司法の常識だとしたら、もう職業裁判官から量刑の権限を奪うべきですよ。
 検察官なんて、刑務官とは同じ法務省の仲間。あえて控訴はしないんじゃないですかwww。