なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 やっぱり検察は控訴しないのね

 受刑者2人が革手錠で拘束され死傷した名古屋刑務所の事件で、特別公務員暴行陵虐致死傷罪などに問われた刑務官5人のうち、4人を有罪、男性看守(29)を無罪とした3月30日の名古屋地裁判決について、名古屋地検は期限の13日までに控訴しなかった。男性看守の無罪が確定。地裁は4人に懲役3−1年、執行猶予5−3年を言い渡したが、男性看守は「違法性の認識が不十分」として無罪とした。

http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/nation/CO2007041301000785.html

 この事件の判決が出たとき、無罪がでたことにも驚きましたが、執行猶予がついたことにも驚きました。刑務官も検察官も同じ法務省の仲間なので、きっとこうした不当な判決にも控訴はしないだろうと予測しました(そのときの日記はこちら)。
 そうしたら、やはり予想どおり控訴せず、無罪は確定。執行猶予も確定ですね。
 検察官は、最近、やたらと重罰化を指向していて、ちょっとでも量刑が軽いとどんどん検察官控訴という奥の手を使ってきます。死刑求刑が無期になった広島のヤギ事件もそうですし、西山事件もそうでした。
 ところが、同じく死んだ人の数では変わらないこの事件では、むざむざと執行猶予判決を確定させるなんてどうかしています。
 やはり、刑務官の犯罪を検察官に追求させようという発想が根本的に間違っています。所詮、彼らは仲間なのですから。もっといえば、司法に携わる公務員という意味では、裁判官だって同じ仲間といえなくはないのです。裁判所が警察や刑務官の犯罪に甘いのは、こうした仲間意識があるからに他ならないのでしょう。
 昔、σ(^^)が修習生だったころ、とても厳格な判決ばかり出すので有名な裁判長がいました。その人が、人生でたった一度書いた無罪判決。それは警察官が被告人だったーーー(警察官が発砲してひとを死なせたことが罪に問われた事件)。そんな笑い話(多分本当の話)があるくらいですよ。
 むむむむ。