なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

尾道刑務支所を見学してきました

 中国地方弁護士会連合会というところから、尾道刑務支所を見学に行ってきました。
 尾道刑務支所は、「交通刑務所」というイメージが強かったのですが、現在は違った姿になっていました。交通違反の受刑者のほとんどは、加古川刑務所に集められているようであり、尾道刑務支所にいる交通違反受刑者はわずかだそうです。
 それでも、まだ尾道刑務支所が「交通刑務所」だったころに始まった、外部の作業所への通勤・宿泊の制度はまだ残っていて、成績が優良な受刑者は開放的な処遇を受けているとのことでした。地元にもうまく溶け込んでいるようで、そうした刑務所や処遇がもっと広がっていくことを期待せずには折れません。
 また、尾道刑務支所は、高齢の受刑者を収容する施設の「はしり」ということで、実際に高齢の受刑者が多くいて、刑務作業をしていました。現在では、受刑者の高齢化は全国に共通した問題であり、尾道刑務支所だけが高齢受刑者を収容しているわけではありません。それでも、ここで培われたノウハウが全国に活かされているということで、職員さんも誇りを持って仕事をしておられるように見えました。
 尾道刑務支所は、定員が300名ちょっとという小規模の刑務所です。それゆえに、アットホームな雰囲気があり、大規模刑務所のようなギスギス感や「管理するほうとされるほう」という対立の構図が比較的希薄なように見えました。先日、北九州の医療刑務所を見学したときも同じような思いをしましたが、こうした小規模の刑務所を数多く作っていくほうが、きめ細かい行刑ができるのではないかと思います。地方分権ということとはストレートには結びつかないかもしれませんが、受刑者が社会とのつながりを持ち続けることが必要なのだとすれば、そうした小規模刑務所を全国に増やすというのも、一つの方策なのではないかと思うのでした。