なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

クジラと死刑

 昨日の死刑執行について今日もまた書きます。
 昨日,ツイッターで流れてきたツイートの中に,要約すると,「死刑廃止は西欧の価値判断の押し付け。捕鯨反対を押し付けるのと一緒」とういものがありました。悪いけど,バカも休み休み言えと言いたくなります。
 それなら,1000年以上も続いてきた我が国の封建社会も,戦時中の治安維持法の暗黒時代も,我が国の大事な文化だから守っていく必要があることになるし,かつてのアパルトヘイトもインドのカースト制度も,中国や北朝鮮の独裁体制も,彼らの大事な文化なんだから,我が国がそれに口出しするなんてとんでもないことです。こんなことを言う人は,現在の憲法の前文も読んだことがないんだろうね。
 有り体にいえば,人権の問題というのは人類普遍の問題だということです。そこには西洋も東洋もない。昔も今もない,そういう問題です。間違っているものは間違っているわけで,他の多くの国が死刑を廃止してきているというのは,そういう価値感覚に基づいているということなのです。死刑を維持したいというのであれば,もっと別の論拠を出して反論すべきであり,「価値判断の押し付け」とか「クジラ問題と一緒」なんて行ってみても,思考停止に陥るだけです。