なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 まずは予想どおりのスタートか

 東京都足立区の殺人事件を巡る全国初の裁判員裁判で、東京地裁(秋葉康弘裁判長)は6日、隣家の女性を殺害したとして殺人罪に問われた藤井勝吉被告(72)に懲役15年(求刑・懲役16年)を言い渡した。公判を終えた裁判員6人、補充裁判員1人は、判決後に全員が記者会見し、裁判にかかわる不安を感じていた心境を明かしながら、重責を果たした充実感を語った。弁護側は控訴を検討中。

http://mainichi.jp/select/today/news/20090807k0000m040075000c.html

 これまでの量刑感覚からすれば、「かなり重い」というのが率直な印象です。ただ、国民の声を入れるというのが目的の制度であるなら、これはこれで当たり前のことで、まずは予想の範囲内のスタートといえそうです。
 問題は、やはり争いのある事案。ぼくが今、被疑者段階で弁護人をしている事件も、深刻な争いがあるケースです。そうした事案に裁判員が接したとき、どういう判断をしてくれるのか、そこがポイントだと思います。これからの事例の集積や評価がとても大事になってきます。
 それにしても、組織力や資金力に格段の差がある検察官と弁護人を、同じ土俵で戦わせていいのだろうか・・・。もちろん、弁護士個人が、それぞれスキルを習得すればいいのかもしれないし、自分としては、検察官に負ける気はしないのですが、今回の傍聴記などを読んでいると、どうも心配に思えてきます。