なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

殺人事件は減っている

 こんな本を読み始めました。といっても、まだ「はじめに」しか読んでませんが。

身内の犯行 (新潮新書)

身内の犯行 (新潮新書)

 この本に限らず、犯罪について語る本の多くには、最近の治安の悪化や凶悪化が進んでいるかのような記述が見られます。しかし、著者も「はじめに」でかるく触れているとおり、統計的には殺人の件数は減ってきています。戦後の混乱期から比較すれば、その数は激減していますし、検索して出てきた平成6年から平成19年までの犯罪認知検数でも、平成19年の認知件数は1199件となっていて、この期間中では最低になっています。
 要するに、治安の悪化というものは、ある意味で、われわれの感情に由来するところが大きく、実証的なデータとして表れているわけではないということです。にもかかわらず、死刑や無期懲役という重罰を科される被告人は減っていないので、単純な考え方をすれば、どんどん重罰化が進んでいるということになります。
 そうした流れの中で裁判員制度がスタートしたわけですが、いったい、今後の量刑はどのように推移していくことになるのでしょうか。