なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

今日の裁判例〜入院患者に対する身体拘束

医療機関が本人の同意なく患者の身体を拘束することは、原則として違法であるとして、緊急避難的行為にも当たらないとして、患者に対する損害賠償を認めた事例。
 名古屋高裁平成20.9.5判例時報2031号23頁
(コメント)
 病院が身体拘束を行ったために、患者が抵抗して全治2週間の怪我まで負ったケース。原審が病院側の不法行為の成立を認めなかったものを破棄したもの。
 精神科ではときおり患者の身体拘束を行っているケースが報道されることがあるが、一般の病棟での身体拘束の是非が問われたレアなケースと考えられる。
 患者側の考えと医療機関側の論理がぶつかる典型的な場面で、基本にかえって患者の同意の有無を基準として判断したものであって、その判断手法は正当ではないかと思われます。