なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

受刑者に定額給付金を渡して何が悪い?

 死刑囚や無期懲役の受刑者にも定額給付金を支給するのか――。こんな議論が、国会や総務省などで続いている。拘置所や刑務所がある自治体では、国民感情を気にして戸惑う担当者もおり、早く基準をつくるよう国に求める声が上がっている。

 「私も、はたと考え込んでいる部分がなくはない」。13日の衆院総務委員会で、鳩山総務相が悩ましげに答えた。定額給付金について、田嶋要議員(民主党)から「不法滞在者は受け取れず、日本人の受刑者が受け取れるという理由は」と問われた時だった。

 法相でもあった鳩山氏は「無期、死刑に若干ひっかかりを持つ。刑法犯で入所している人に対してどうかなという点は、少し検討させようと思う」と、死刑囚と無期懲役の受刑者への給付に慎重な姿勢も見せた。

 定額給付金は、住民基本台帳外国人登録原票に記された人が支給対象だ。成人の場合、1人につき65歳未満が1万2千円、65歳以上が2万円を支給される。

 総務省によると、受刑者がどこに住民登録するかを特に定めた法令はないが、原則として収容先から出られない死刑や無期懲役の場合、拘置所や刑務所に住民票を置くのが基本的な考え方だという。

 法務省によると、死刑囚は全国7カ所の拘置所無期懲役になると15カ所の刑務所に収容される。死刑囚は4日現在で99人、無期懲役受刑者は07年末現在で1670人いる。年金などの蓄えがあっても、施設内で買えるのは、洗面用具や文房具といった日用品などに限られる。代理人を通じ、被害者に弁済することは可能だ。
(以下略)

http://www.asahi.com/politics/update/0124/TKY200901240179.html

 受刑者に定額給付金を交付する是非を判断する前提として、まず、受刑者がどのような暮らしをしているのか、毎月、懲役で働いて受け取る報奨金がいくらなのか、きちんとデータを公開したほうがよさそうです。
 法務省のHPでは、一人あたり、月平均4200円とされています。→ここ
 問題なのは、これだけの金額では社会復帰したときの足しにならないということです。定額給付金がそうした目的に使われるなら、それはそれで、合目的的だと思います。
 では、死刑囚や無期懲役受刑者はどうか。記事が伝えるように、所内で使えるものは限られています。しかし、それでも、書籍を購入したり、外部と郵便でやりとりしたりすることは可能なので、そうした目的に使うのであれば、目くじらを立てることはないと思いますよ。どんどん使えば、書店や郵便局、刑務所で物品販売を独占している刑務官組織「矯正協会」が潤うのですから、内需拡大と景気回復の効果だってあるんでしょうからね。
 民主党も、文字どおり不法な存在である「不法滞在者」と、裁判を受け終わって法律によって強制的に収容されている受刑者との違いがわからないほどお馬鹿なのでしょうか。