なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

今日の裁判例(その9)

 警察署の代用監獄に勾留されていた被疑者あての速達郵便物を、同人に接見禁止が付されているものと誤解した結果、交付が3日間遅れた事例について、接見交通権を侵害する違法なものであるとして、3万円の賠償が認められた事例。
 熊本地裁平成20.6.25判例タイムズ1281号188頁
(コメント)
 共犯者などと意を通じて証拠隠滅をはかったりするおそれのある被疑者については、接見禁止処分が付されることがあります。弁護人や一部の親族を除くほか、面会や手紙のやりとりが許されなくなります。
 本件は、そうした事情がなかったにもかかわらず、本人宛に来た速達郵便をそのまま係官が保管し続け、本人が起訴されて接見禁止処分が解除された(と思い込んだ)日になってようやく本人にその手紙を交付したという事例です。この判決では、結果的に、3日間、交付が遅れたものと認定されています。そのうえで、大きな実害が発生していないことも考慮して、賠償額を3万円にしています。
 いいわけの余地のないミスなので、損害賠償が認められたことは当然といえば当然でしょうね。