なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

弁解の余地のない水増し請求

 国の税金がノーチェックで弁護士に支出されていた。スタートから2年で初めて明らかになった被疑者国選弁護制度を巡る水増し請求問題。3回しか接見していないはずの黒瀬文平弁護士(67)が「5回」と書くと、日本司法支援センター(法テラス)は「言い値」で報酬を支払っていた。裏付けとなる書類の添付は不要で、申請をうのみにするシステム。「制度の根幹を揺るがす重大事案」。法テラス幹部は頭を抱えた。
(中略)
 容疑者の人権を守り冤罪(えんざい)を防ぐために、被疑者段階の国選弁護が必要なのは言うまでもない。一方で多額の税金を投入する以上、ノーチェックで支出を認める現状は許されない。法テラスはもちろん、法務省、日本弁護士連合会は協力して改善策を打ち出すべきだ。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20081010ddm041040144000c.html

 これって、岡山のヤメ検の弁護士なんですよね。
 上の記事で書いた行事には、日弁連の会長も、岡山の弁護士もおおぜい来ていて、とうぜんこの問題も取り上げられました。ひとりの弁護士の不正のせいで、全体の信頼までが揺らいでしまうわけで、この弁護士には厳しい処分をすべきだと思います。
 それはともかく、被疑者に面会に行った回数で報酬を決める現在のシステムは、決してベストの制度でないけれど、他にいい基準がないのも事実。法務省天下り組織である法テラスに、弁護活動の中身をチェックさせて、その働きぶりを判断させるわけにはいかないからです。そうだとすれば、外形的な算定基準を作るしかないわけです。この弁護士は、そうしたシステムを悪用して、行ってもいない接見をしたように装っていたもので、「意図的ではない』といういいわけが通るとは思えません。往生際が悪すぎますね。
 毎日新聞が提唱しているのは、ノーチェックで支出を認める制度を改めるべきだということ。面倒ですが、接見に行く度に施設(代用監獄拘置所)の人にハンコでももらってくるという制度にするしかないんでしょうか。さすがにハンコを偽造する弁護士はいないでしょうから・・。