なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

再犯知的障害者の更生(毎日新聞)

 おにぎり一つを盗んで刑務所への出入りを繰り返す。そんな知的障害者の更生問題が顕在化している。再犯の背景として出所後の貧弱な生活支援が指摘され、厚生労働省の研究班がサポートのあり方などについて検討中だ。これまでの調査から、触法障害者が司法と福祉の施策の谷間に落ち込んでいる実態が浮かんでおり、法務・厚労両省の連携強化が急務だ。研究班の報告を受け、両省は年度内にも具体的な施策の立案作業に入る。

http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20080506ddn003040016000c.html

 誤解を恐れずにいえば、こうした犯罪傾向を持った知的障害者の場合、家族のサポートがとても難しいです。
 最初のうちは、家族も懸命にフォローしたり、本人の更生のために各所に相談するなど、家族も一緒に悩み、動いてくれます。しかし、それでも犯罪を繰り返す場合、家族があきらめてしまったり、一緒に生活すること自体を避けたりすることも稀ではありません。本人も、次第に家にいづらくなって、ついには刑務所とシャバを行ったり来たりという生活に陥ってしまうこともあります。

 政府は昨年12月、障害者基本計画の今後5年間の重点項目として「矯正施設に入所する障害者の地域生活支援の推進」を初めて盛り込んだ。再犯防止を重視する法務省も「福祉の視点」から取り組みを始めた。民間活力を導入し昨年10月に新設された「播磨社会復帰促進センター」(兵庫県加古川市)などの刑務所は、精神・知的障害のある受刑者向けの収容スペースを設置。従来の刑務作業だけでなく、陶芸や農園芸、生活訓練など出所後の自立が望めるプログラムを導入した。作業療法士臨床心理士も配置している。

 法務省幹部は「これまで触法障害者は、刑務所に預かって出すを繰り返すだけだった。今後は両省で横断的対策を話し合う必要がある」と語る。

 このあとの記事でも触れられていますが、実際には「横断的対策」として実効性のある措置を講じるのはなかなか難しいです。それでも、こうした障害者に対しては、刑務所に収容するよりも、社会での居場所を与えて生活の基盤を整えてあげることが効果的だと思います。厚労省が主導的に動いて法務省を動かしていって欲しいところです。