なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 弁解にならない弁解と訳の分からない匿名報道

酒に酔って電車内で女性に迷惑をかけたとして、大阪府警は13日、同府交野市に住む生活安全部保安課の警部補(36)を酩酊(めいてい)者規制法違反の疑いで現行犯逮捕したと発表した。警部補は仕事帰りにかなり酒を飲んだといい、「よく覚えていない」と供述しているという。
(中略)
府警では先月末、警部補の平原幸史郎容疑者(47)が談合に加担したとして逮捕されたばかり。府警監察室は「飲酒上のこととはいえ、信頼を損なう行為であり誠に遺憾」としている。

http://www.asahi.com/national/update/0613/OSK200706130025.html

 監察室は何を考えているのでしょう。
 今回、警部補は「酩酊(めいてい)者規制法違反」で捕まっています。つまり、「飲酒で迷惑をかけたこと」そのものが罪に問われているわけです。にもかかわらず、「飲酒上のこととはいえ」という枕詞を使うのはおかしいのではないですか。
 こういうロジックが通用するなら、酒気帯び運転だって「飲酒上のこととはいえ」迷惑をかけてすみません、と謝ればすむことになりませんか。昨日、公判があった福岡の危険運転致死罪の件も、「飲酒上のこととはいえ」といって弁解すれば、世間の納得が得られるのでしょうか。
 それから、この警部補の氏名が公表されていないのはなぜでしょうか。
 前に、NHKの職員が女性にほおずりした、という件では、しっかり実名が公開されていました。
 おそらく、今回は、府警自身が、この警部補(36)の氏名を公表しなかったのではないかと思いますね。
 NHK職員と警部補と、どちらが社会的非難に値すると思っているのでしょうか。「飲酒上のこと」ならNHK職員だって匿名にすればいいんですよ。電通の社員と同じくね。
 もっとも、σ(^^)は、こうした事件については、警察関係者であろうとなかろうと、まず、分け隔てなく実名で報道機関に情報提供すべきだと思います。そして、それを実名で報道するか、匿名で報道するかは、その報道機関が判断すればいいと考えます。それで報道機関の判断が分かれても、それはそれで仕方ないことだと思います。そして、センセーショナルに実名報道をするような報道機関があったとしても、それはその報道機関が社会から軽蔑されるだけです。
 その意味で、今回の府警の態度には、いくつも疑問があるといわざるを得ないのではないでしょうか。