なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

検事の自白強要は違法…大阪地裁が国に賠償命令(読売新聞)

卓球の指導中に女児の体に触ったとして強制わいせつ罪に問われ、高松高裁で無罪判決が確定した高知市の会社員竹内真一郎さん(48)とその妻八恵(やえ)さん(44)が、「1審公判中、担当検事から妻を呼び出され、罪を認めるよう迫られるなどして精神的苦痛を受けた」として、国に慰謝料など440万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、大阪地裁であった。森宏司裁判長は「検事は妻に圧迫感を与えており、当時被告だった竹内さんに、妻を通じて間接的に自白を求めた違法行為で、夫婦の人格権を侵害した」などと認定し、国に慰謝料など77万円の支払いを命じた。

 この妻は、検事とのやり取りを録音しており、これが決め手になったそうです。

 担当検事 「僕ははっきり言って、本人が否定したままでいっても、全く構わないです。そうしたら刑務所入るだけなんで」「このままだったら、刑務所に入ることになるんですよ」

 八恵さん 「夫にどういうふうに言えばいいんです」

 担当検事 「だから、僕にそういうふうに言われたって言えばいいんじゃないですか」「あなたははなから(夫が)やっていないと信じている。そういう態度が本人を苦しめているんだと思いますよ」

 八恵さん 「私が夫を信じたばかりに夫を苦しめている、と」

 担当検事 「本人がやったということは、自分が一番よくわかってるはずじゃないですか」「認めていれば刑務所に入ることもないし、保釈もあったかもしれない」

 これがいわゆる「人質司法」と呼ばれるものです。「認めれば出してやる」、「否認すれば身柄拘束(ひいては実刑)」ということになります。これによって、どれだけの人が不本意な自白をしてしまったことでしょうか。
 警察や検察は、すべての取り調べを録画して残そうという「取り調べの可視化」に強く反対しています。
 そりゃ、こんなことばかりしていたのでは、録画を残されたら困りますよね。