なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

サラ金と保険会社の危ない関係

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 まずはこのニュースから。たまたまコンビニ買った毎日新聞で報じられていました。

 消費者金融10社が借り手全員に生命保険を掛けていた問題で、死因が判明しないまま保険金が支払われていたケースが05年度、大手5社で支払い総件数の半数以上の約2万件に上ることが分かった。遺族に死因を確認せず、業者が取得した住民票の死亡記載のみで保険がおりる場合が大半で、自殺も相当数含まれるとみられる。命を「担保」にした安易な債権回収を大手の生命保険会社が支えている実態が初めてデータで裏付けられ、生保の姿勢が問われるのは必至だ。
(中略)
 この生命保険は「消費者信用団体生命保険」(団信)と呼ばれ、借り手を被保険者として消費者金融が掛け金を支払い、死亡時に残った債権を保険で回収する。一般の生命保険の場合、保険会社は死亡確認のため、遺族に死亡診断書などの提出を求める厳格な運用をしている。
 しかし、団信では契約後1〜2年以上たったり、債権額が少ないケースでは業者が市町村役場に請求した住民票で死亡の事実を確認するだけで保険を請求できる。一部の大手消費者金融毎日新聞のこれまでの取材に「遺族に負担をかけないための保険であり、死亡診断書などで遺族から死亡確認するのが原則」と答えていた。
 大手5社はいずれも大手生保から短期・長期の巨額融資を受けている。生命保険協会は「死亡を確認する方法まで協会として承知しておらず、各社の問題だと考える」と説明している。

ところで、この記事に関して北沢さん(id:kaerudayo)は、日本生命のCMで使われている谷川俊太郎の詩を引き合いに出し、保険会社の姿勢を皮肉っておられます。保険会社とサラ金の持ちつ持たれつの関係が、債務者を自殺に追いやっているという指摘は、まさにその通りだと思います。谷川も、「お金」「お金」と品のない詩を作る暇があったら、もう少しこうした実態を勉強すべきだと思うことしきり。
 もっとも、諸悪の根源は、やはりバカ高い金利を押しつけているサラ金業界にあると思います。
 最近、このような貸金業規制法の網を買いぐった金利(いわゆるグレーゾーン金利)に対して、最高裁が業者に厳しい判決を相次いで出しました。債務者が既に払った金利を、適正な金利に引き直して計算をしてみたら、すでに債務がなくなっているだけでなく、払いすぎ(過払い)の状態になっていることもしばしばなのです。
 ところが、このような計算は、弁護士が出て行ってすったもんだの交渉をして、やっと判明することが多く、多くの債務者は、泣く泣く高い金利を支払い続けています。そして、追いつめられて自殺する・・・・。
 遺族から相談を受けた弁護士が、サラ金と交渉してみたところ、やはり過払いになっており、しかも、この団信を利用して、サラ金は保険金まで受け取っていた・・。ダブルで大もうけしていたわけです。
 やはりこうした商売は明らかに異常であって、なんとしても、規制を強化する必要があると思われます。自民党は、こうしたグレーゾーン金利問題を、ふたたび業者寄りに修正しようとしていますが、とんでもないことです。
 保険会社とサラ金業者、それに自民党を加えた三者の異常な関係は、いつまで続いていくのでしょうか。