なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

懲役とはなにか?

 刑務所とは、懲役刑になった人を収容するところですね(裁判中の人が入るのが拘置所です)。
 では、「懲役刑」とはなんでしょうか。あるべき刑務所処遇のありかたを考えるうえで、「懲役刑」の中身を考えることは必要不可欠です。
 法律にはきちんと書いてあります。「懲役は、監獄に拘置して所定の作業を行わせる。」ということです(刑法12条2項)。すなわち、懲役とは、その移動の自由を奪って監獄に閉じ込め、強制労働をさせる、ということです。
 そこから考えると、労働時間以外の時間については、移動の自由を制限する以外の一般的な自由については、それを剥奪することは許されない、という解釈がでてきます。刑法には、懲役の内容として、「喫煙は認めない」とか「飲酒は不可」などと規定していないのです。
 したがって、理論的には、刑務作業以外の自由時間には、飲酒や喫煙という行為も許されるという解釈が生じてきます。
 にもかかわらず、現在の刑務所では、これらの自由はありません。無罪の推定を受けるはずの拘置所でも同様です。自由時間には、せめて寝そべってテレビで野球観戦をするとか、コーヒーをのみながら雑誌を読むくらいの自由があってもよさそうですが、当然、こんなことは許されません。繰り返しますが、法律には「監獄に拘置して、所定の作業を行わせる」とあるだけです。受刑者は、監獄に拘置されることを甘んじて受け、所定の作業を行いさえすれば、あとは自由にさせるべきなのではないでしょうか。