なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 winny事件の判決

http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/c1eea0afce437e4949256b510052d736/75f4203576aa0a5d49256f77000e906b?OpenDocument
 映画をエンコして公開しちゃった人が有罪判決(これは当然だと思う)を受けました。内容はまあ、裁判所の今の考え方からすれば、予想されたところではありますが、裁判所が弁護人に関する反感をむき出しにしているところは、少々大人げないと思わないでもない。まだ若い弁護士さんなんですから、そんなに強く諫める必要もないのではないかと。裁判所の左陪席だって似たようなもんでしょうに。
 たとえば、

弁護人の本件に関する主張は,極めて多岐にわたっており,形式内容のいずれにおいても,必ずしも十分整理されたものであるとはいい難いものの,その主張内容を要約し,とりあえず,これを弁論要旨に現れた順に列挙すると,概ね以下のとおりである。

とか、

(本件の弁護活動について)
 弁護人は,本件について,文化庁長官に対し,著作権紛争解決のあっせんを申請するに当たり,その申請書に,起訴状及び検察官の冒頭陳述書の各写しのほか,検察官から開示を受けて謄写した証拠書類である告訴状2通の写しを添付し,Eに対しても,検察官から開示を受けて謄写した証拠書類である捜査報告書の内容を送付していることが窺われる。これらの各書類が,弁護人に交付されたり,弁護人が謄写したりすることができるのは,迅速な訴訟進行のため,弁護人の便宜を図ったものであって,第三者が,これらの書類を弁護人から入手し,閲覧等することは予定されていないばかりか,各書類には種々の記載がなされており,それらが社会一般に公開されることとなれば,捜査の秘密保持,関係者のプライバシー保護等,様々な問題が生じることが容易に想定できる。また,これらの書類の中には,事件関係者が捜査機関に提出するために作成したものもあるところ,それらの書類は,捜査機関又は裁判所以外には出回らないことを前提として作成提出されているものであり,弁護士であれば,そのようなことは当然承知している筈である。それにもかかわらず,これらの書類を第三者に送付した弁護人の行為は,慎重さを欠いた,まことに不適切な行為である。
 また,弁護人は,Winnyの開発者であるE及びその弁護人とは連絡が取れないから,Winnyの動作等についての弁護人の主張を立証するためには,同人の警察官調書の取調を請求する以外に術がないとして,Eの警察官調書の取調を請求した。しかし,関係証拠によると,弁護人とEとの間では,平成16年2月から同年4月までの間に,同弁護人から9回,Eから7回にわたって電子メールが送信されていることが認められ,しかも,その内容は,Winnyの機能や動作に関するものが多々含まれている。そして,弁護人からの電子メールには,本件の証拠書類をデータ化したものが添付されていたことも窺われることなどに照らすと,弁護人とEとの間では,本件に関連して,それなりに密な連絡が取られていたことは明らかであり,弁護人は,裁判所に対し,証拠の取調を請求するに当たり,虚偽の事実を告げたものといわざるを得ない。このように裁判所に対して虚偽の事実を告げて証拠請求をするなどという弁護活動は,裁判所と弁護人との間の信頼関係を著しく損ない,事件の審理ひいては実体的真実発見にも多大な悪影響を与えかねないものであって,弁護士倫理の観点からも到底許されるものではない。
 本件審理の過程において,このような不適切な弁護行動が行われたことについては,裁判所としてこれを看過することはできず,弁護人に対し強く自戒を求めるものである。

とか、

本件は,弁護人が,種々の主張をして争ったため,審理に約1年間を要することになったものの,この弁護活動は,被告人の公判供述等に照らすと,果たして被告人の意思に適ったものであったのか疑問なしとしないから,これをもって,被告人自身の反省の程度に疑いの目が向けられるものではないことなどを考慮

など。