なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 矯正協会と刑務所の素敵な関係

神戸刑務所長が矯正協会「公益費」を私的に流用
 流用の指摘を受け調査した同協会によると、安福所長は2001年度から02年度までの前任の神戸拘置所長時代に約11万円、その後の神戸刑務所長時代に約21万円を流用。以前の勤務地で知り合い、神戸拘置所・刑務所には関係のない協力員や業者との飲食費に使っており、「私的な流用」と判断した。公益費は受刑者の運動会や慰問などの行事の運営費や、施設職員の福利厚生のために矯正協会が支出。同費の使途は矯正協会の各支部長を兼ねる刑務所長や拘置所長の裁量に委ねられていた。今回の事態を受け法務省は今年10月にこれを改め、支部長を各施設の総務部長が兼ねるようにした。 (07:00)

 安福所長は全額返還し「施設の協力者や地域との融和などに支出したが(返還を求めた矯正協会の)指導を厳粛に受け止めている」と話しているが、「私的流用額は数百万円に上る」と指摘する神戸刑務所関係者もいる。
(中略)
 各刑務所などに併設されている矯正協会支部は、売店での受刑者への日用品販売で得た利益のうち53%を協会本部に納入し、残りを公益費としてプール。公益費の支出は支部長を兼務している各刑務所長らの裁量に任されていた。矯正協会神戸刑務所支部長は、今月から同刑務所総務部長が就任している。

 受刑者への日用品販売の利益は全施設で計約四億七千万円(二○○二年度)。公益費が刑務官の表彰やカラオケ大会などに使われていたことも既に判明している。

 矯正協会という組織をご存知ですか。刑務所に入ったことがある人でもあまり知らないですかね。
 この財団法人は、刑務所内で受刑者が日用品などを購入する際の窓口を独占していて、それでかなりの利益を上げているのではないかと推測されています。受刑者は、日用品を買おうと思ったら、矯正協会を通さざるを得ないし、価格や物品も、矯正協会が指定しています。歯ブラシ1本にしても、矯正協会が決めたものを、決められた価格で買う以外にありません。そして、その価格が、異常に高いのです。
 こんなおいしい商売をやっている矯正協会ですが、この協会は、刑務所職員の天下り先でして、所長をやったようなベテランのお役人が、退職後にここの部長になったりするんですね。矯正協会は、上記のような事業のほかに、矯正教育に関する研究活動などもやっていることになっていて、その成果をまとめた雑誌なども出しています。そういった費用は、刑務所で受刑者から徴収したお金でまかなわれているのでしょうかね。
 このように、いわば刑務所の出先機関としての性質が濃厚ですので、当然、いろんな不祥事も起きてきますよね。上記の神戸刑務所における使い込み事件もそうですし、滋賀で起きた職員に対するセクハラ事件も矯正協会がらみでした。
 いっそのこと、刑務所に出入りする業者についても自由競争にして、安くていいものが受刑者の手に入るようにできないですかね。そうでなくても、受刑者がもらえる作業賞与金は低いのですから。今のままでは、せっかく得た賞与金も、日用品購入に消えてしまい、刑務所の中から被害者に送金するなんて美談はありえない状況です。
 法務省は刑務所民営化などといっていますが、そういったことに手をつける前に、自分のところのおかしな財団法人を解体すべきなのではないでしょうか。