なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 受刑者の接見制限は違法 国に15万円の賠償命じる(共同通信)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040629-00000159-kyodo-soci

 判決理由で能勢顕男裁判長は「刑務所が接見に職員を立ち会わせたことで、原告は弁護士と接見する権利や自由を侵害された」と認定した。
 判決によると、元受刑者は1997年に詐欺罪で懲役10月の判決を受けて服役。98年4月、広島拘置所での懲戒処分で持病が悪化したとして弁護士と面会した際、刑務所職員が同席し会話を記録した。

 刑務所で弁護士が受刑者と面会をするとき、刑務所職員が立ち会いをします。
 これが受刑者ではなく、裁判中の被告人であった場合、立ち会いはありません。被告人と弁護人との秘密交通権は認められているのに対し、すでに刑が確定している受刑者の場合には、秘密交通権を認めないというのが刑務所の言い分です。
 ですが、本件のように、まさに刑務所の処分によって被害を受けたと受刑者が主張し、そのために弁護士と相談をしているにもかかわらず、加害者として名指しされた当事者である刑務所職員が立ち会い、会話を記録したのでは、受刑者としてはいいたいこともいえなくなるし、裁判も起こせなくなってしまう恐れが強いです。
 せめて刑務所を相手とする事件の打ち合わせに関しては、刑務所職員は席を外すという配慮をすべきだとおもいますが、そのような当然のことさえ、いままで認められてこなかったのです。この判決は、いままでの裁判例の傾向からすれば、やや異例の、国側に厳しい判決となっています。金額は少ないにしても、このような判決が続いてくれることを、この種の事件を扱う弁護士としては願ってやみません。