なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 天皇の逝く国で

天皇の逝く国で[増補版] (始まりの本)

天皇の逝く国で[増補版] (始まりの本)

 家の中にいると読書がはかどります。最近読み終わったのは,ノーマ・フィールドが書いた「天皇の逝く国で」。昭和天皇が亡くなった直後に書かれた本ですが,20年後の今についても触れられた増補版が出ているので,こちらを読みました。
 この本は,アメリカ人を父に,日本人を母に持つ著者が,沖縄,山口,長崎を訪れて,それぞれの地で会った人との対話を記録したもの。日本という国が,いかに少数者にとって生きづらい国になってしまっているのか,それが21世紀になっても変わらないままであるのかが,よくわかります。「少数者の人権を守ろう」というのは,弁護士がよく口にする言葉ではあるけれども,実際にその人権を勝ち取るのが,そしてそれを守り通していくのが,いかに困難に満ちた戦いにならざるをえないのかということが,著者のたんたんとした筆致から,じわじわと伝わってきます。
 ぼくがくどくど書くよりも,アマゾンの読者レビューがどれもなかなかよく書けているので,そちらを読んでもらったほうがいいかもしれませんね。とりあえず,年末年始にはもういちど,ゆっくり読み直したい本の1つになりました。