なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

もっと更生保護に予算と人を

 たまたま目にしたブログに、はっとさせられる記事がありました。

釈放後、頼りにするのは保護司だけど、その保護司はボランティアであるという恐ろしい現実。
管首相は、保護司制度の充実を指示という見出しを目にしたけど、ぜひそうしてもらいたい。ボランティアではなく、ちゃんと職業として成立してほしいな、と思います。
死刑制度廃止論者ではありませんが、死刑も無期も廃止し、有期が15年までになったら、日本人は更生について、もっと真剣に考えるかもしれない、とも思います。

http://plaza.rakuten.co.jp/adajio/diary/201008300000/

 欧米では、死刑も終身刑もなく、最高でも懲役が12〜15年というところがいくつもあります。それでも治安が悪化していると指摘されることもないし、日本のように再犯率が5割になってしまうという情けない事態も起きていません。
 こうした事実は、我が国で進められてきた厳罰化や刑務所への過剰収容、なかなか認められない仮出獄などという司法や行刑の実務が、実はまるっきり失敗に終わっているということを物語っています。刑務所を出てすぐに犯罪に走った人に、裁判官や検察官は罵詈雑言を浴びせかけるけど(もちろん、言葉遣いは丁寧なのだが)、それは、行刑のシステムが破綻していることの表れであって、天に向かって唾を吐いているのと同じことです。とくに検察官は、刑務所を運営する法務省の役人でもあるわけですから、彼らはもっと自分たちの恥を知ったほうがいい。自分たち(法務省矯正局)がやってきた活動がまったくの失敗に終わっていることを棚にあげて、犯罪者を責めて厳罰を与えても、結局はまた数年後に同じことが繰り返されるだけ。そうであれば、検察官も、従前と同じような運用を漫然と繰り返すのではだめでしょう。
 上記のブログの筆者がいうように、刑罰を欧米並みにしてしまえば、否が応でも、その行刑の中身について、あるいは出所者の更生保護について、これまでの認識を改めなければならないことになるでしょう。鶏が先か卵が先かという議論ではないけれども、行刑の失敗という現実がある以上、更生保護の充実による再犯の防止という方向に舵を切っていく時期が来ているのだと思います。