なるしすのブログ

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映画「接吻」はあり得ないオチというわけでもなかった?(ネタバレ注意)

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 映画の「接吻」のあらすじ紹介では、次のように書かれています。

『ありがとう』の万田邦敏監督が描く、究極の愛の物語。孤独な人生を歩んできた京子は、殺人犯、坂口をテレビで一目見るなり、自分と同じ怒りを抱える人間であると思い込み、面会だけで、一度も触れ合うことなく愛を育み、結婚までしてしまう。主演は、小池栄子豊川悦司仲村トオル篠田三郎。これが映画初主演となる小池栄子だが、怒りを抱えて生きてきた孤独なヒロインを熱演。本格的な映画出演が初めてとは思えない、見事な演技を見せている。グラビア・アイドル、バラエティタレントとして活躍してきた小池は、本作で女優としての新境地を切り開いている。タイトルでもある、ラストの<接吻>シーンには驚嘆させられずにはいれらない。

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 「驚嘆せずにはいられない」のはそのとおりだと思う。ストーリーの流れや、ヒロインの心理描写などからして、ああいうオチにせざるを得なかったという必然性はなんとなく理解できる。
 しかし、現在の司法制度を前提とする限り、このオチはあり得ない。たとえ肉親であろうと弁護人であろうと、未決囚と仕切りなしに会うということはおよそありえないからだ。もちろん、監督やら脚本家は、そうした制度もすべて知った上で、あえてそうした世界を描いているんだと思うけど、司法の場に身を置くものの一人として、やはり現実にありえない結論というのは、いささか消化不良になるのも事実。
 そんな風に思ってきたのだけれど、先日の渋谷署の事件には驚きました。弁護人の差し入れた鞄の中に包丁が入っていたというアレです。あんなことがあるとすれば、「接吻」のラストももうちょっと工夫したら、現実に近づけたのかもしれないとさえ思います。というか、渋谷署の事件の法がまさにドラマチックということなんでしょうが。
 小池栄子は昨日見た20世紀少年にも出ていたし、なかなか女優として面白い人になってますね。