なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 高級メガネを持つということ


 徳島刑務所(徳島市)で高級ブランドの老眼鏡使用を許可されず精神的苦痛を受けたとして、男性受刑者(69)が国家賠償法に基づき国に 200万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で高松高裁は18日までに、「別の眼鏡を所持している」として請求を棄却した一審・徳島地裁判決を破棄、国に20万円の支払いを命じた。

 小野洋一裁判長は「処分は著しく不合理で違法。別の眼鏡があるからといって精神的損害がないとはいえない」と指摘した。

 判決によると、男性は徳島刑務所で服役中の2001年ごろから、ブルガリなど高級ブランドの3つの老眼鏡を使用。度が合わなくなりレンズ交換に出し、再度、使用を刑務所長に申し出たが、07年1月以降、高額であることを理由に不許可とされた。

 国側は、受刑者の処遇改善を目的に06年に施行された受刑者処遇法を理由に「経済的格差が刑務所内に持ち込まれ、不平、不満が高まる恐れがあり、画一的に処理する必要があった」と主張していた。

 男性は同刑務所が内規で10万円以上の眼鏡の使用を認めていないことの違法確認も求めたが、小野裁判長は「違法とまで断定できない」と退けた。〔共同〕

刑務所での高級老眼鏡不許可は違法 高松高裁が賠償命令 :日本経済新聞

 徳島刑務所といえば、いわゆるLB級の刑務所です。無期懲役など、かなり刑期の長い人が収容されるところです。そんな中で、おしゃれの一つともいえる高級メガネの所持をどこまで認めるか。なかなか線引きは難しそうです。単純に考えると、本人が持っているものなんだから、自由に使わせてやったらいいのではないかと思います。長期の服役を余儀なくされるのであれば、そのくらいの自由は認めたらいい。「出てから使え」と言われると、それが永遠にかなわないおそれもあるのですから。
 国側は、「経済的格差が刑務所内に持ち込まれる」という理論を展開しているようですが、もともと、経済的格差なんて社会には普通にあることです。もちろん、資金に恵まれている暴力団員などが、その証として高級品を身につけるということが実際にはあるようですが、取り締まるべきは、暴力団員が刑務所の中で不当な行為をしたり、他の受刑者をいじめたりすることです。所持品を画一化すれば、不平や不満が沈静化すると考えるのは、いかにも受刑者を幼稚園児扱いしているように思えるのですが、いかがでしょうか。