ダットサンの思い出
- 作者: 我妻榮,有泉亨,川井健
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2008/03/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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初学者向けのそれなりに易しい本のはずですが,「法人」の章あたりで訳がわからなくなりました。「法人実在説」と「法人擬制説」のあたりですね。このあたり,今でもよくわかりません。もちろん,「わからなくてもよい」という箇所なのですが,初学者だと,どこをきちんと理解する必要があって,どこが適当(アバウト)で良いのかということ自体も,よくわからなかったりするんですよね。そういう意味では,非常に思い出深い本なのです。
なぜ,この本のことを急に取り上げたのかというと,下記の報道に接したから。
故我妻栄・東大名誉教授らが刊行した「民法」(勁草書房)の一部を、講座のテキストに無断転載したとして、遺族らが学校法人「大原学園」(東京)などに計約1940万円の損害賠償などを求めた訴訟の和解が、東京地裁で成立したことが16日、分かった。
15日確認された和解条項によると、大原学園側が著作権侵害を認めて謝罪し、遺族らに計800万円余を支払う。大原学園側は昨年12月の提訴の時点で既に無断転載を認めてテキストの使用と配布を中止し、賠償の意向を示していた。
「民法」は1954年の刊行以来、「小型なのにパワフル」と評判だった往年の自動車にたとえ「ダットサン民法」の愛称で法曹を目指す学生らに浸透。大原学園は2006〜08年、司法書士試験用の講座に使うテキスト中で一部の記述を無断転載したとされる。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100616k0000e040061000c.html
1954年刊行ですか。当然,生まれる前の話です。我妻先生亡き後は,有泉先生や川井先生が手を入れられてアップデートされ,ロングセラーになっています。債権法が改正されると,こうした本も役割を終えるのかもしれませんね(トオイメ)。