なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

だからDNAデータベースってやつは・・・

 昨年11月に横浜市内で起きた窃盗事件で、神奈川県警が現場の遺留物と警察庁が管理するDNA型データベースのDNA型が一致した男性の逮捕状を取ったものの、データベースに登録されていたのは別人のものだったことが県警への取材で分かった。県警が登録段階で取り違えた可能性が高いという。DNA型データベースは捜査の有力な手がかりになるだけに、警察庁は「今回の原因を調査して、同様のことが起きないよう指導していく」とコメントしている。
(中略)
 警察庁では04年12月から犯罪現場に容疑者が残したとみられる血痕や体液などのDNA型記録を登録し検索するデータベースを運用し始めた。さらに05年9月には、容疑者の身体から採取された資料の記録も登録して検索の対象とするシステムを開始した。

 現場に残された資料や容疑者のDNAは、都道府県警が検体を採取し鑑定、オンラインで結んだ警察庁管理のデータベースに登録する。新たな事件が起きた際などにデータ入力すると、自動的に照合することができる。

 警察庁によると、2月末現在で容疑者本人のDNA型情報は8万209人分、現場で採取したDNA型情報は2万1808人分が登録されている。約1000万人分(09年末現在)が登録されている指紋に比べ少ないが、DNA型データベースの充実を目指している。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100320k0000e040053000c.html

 こんな基本的なミスが起こるとは、開いた口がふさがりません。
 っていうかまた神奈川県警かよ!
 この日記を「神奈川県警」ってキーワードで検索してもらえばわかると思いますが、神奈川県警ってミスやら不祥事のオンパレード。
 それにしても、この犯人扱いされちゃった人は、まだ生きていたから自分のDNAを再提供して、再鑑定することができたわけですが、時効が撤廃されて永久捜査になる時代だと考えると、ちょっと空恐ろしいものがありますね。もし、このひとが死んでしまっていたとしたら、おそらく、神奈川県警は、「DNA鑑定で被疑者を特定した。ただし被疑者はすでに死亡しているのでこれで捜査は終わり」なんてことを言い出しかねません。
 最初の登録の際に間違いが起きないようにチェックすることはもちろん必要ですが、こうした人為的ミスが避けられないのだとすれば、DNA鑑定を決め手とするような捜査や、それによる容疑者の絞り込みということについても、どこかで制限をしないといけないのかもしれません。
 日弁連は、以前、このDNAデータベースについて意見を発表しています。そのときは、こうした人為的なミスが起きて、実際に冤罪が生じかける事態までは想定していなかったような気がしますが、民主党政権にもなったことだし、そのあたりの再チェック体制をきちんととって欲しいものです。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/071221.html