なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

最高裁が守ろうとしたもの

 北海道砂川市が、市内の神社に敷地を無償で提供していることが憲法の「政教分離」原則に反しているかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允=ひろのぶ=長官)は20日、無償提供を「違憲」とする判断を示した。一方で、神社の撤去を命じると氏子らの「信教の自由」を侵害するとも指摘。違憲状態を解消できる他の手段の有無を検討する必要があるとして、審理を札幌高裁に差し戻した。

 政教分離が争われた訴訟で、最高裁違憲の判断を示したのは「愛媛玉串料訴訟」(1997年)以来、2例目。公有地上に宗教施設がある例は全国にあり、影響が及ぶ可能性がある。

http://www.asahi.com/national/update/0120/TKY201001200300.html

 このニュースがテレビで流れたのを見た娘が、「あ、裁判員だ。人数が多いね」とつぶやきました。
 娘よ、あれは「大法廷」と言って、全員が最高裁判所のエラい裁判官なのだよ。大法廷は15人も裁判官がいるんですよ。まあ、確かに、裁判員法廷とよく似ていますけどね。
 それはともかく、このニュースの話を一般の人としていたら、どうも感覚がぼくたちとは違うようです。「なぜ最高裁はあんなに厳格なのか。集会所のような施設なんだからいいんじゃないの」というようなことを言われます。「いや、憲法がそもそも政教分離を定めているんで」という、説明にならないような説明をすると、今度は、「なぜ政教分離をそこまで徹底するのか」という疑問がでされます。そこで、さらに、「そりゃ、戦前の国家神道やら靖国やら、そうしたことの反省のうえに今の憲法があるわけで」という話をすると、なんだか異星人を見るよな目で見られてしまいます。ぼくより若い世代にとっては、「国家神道」や「靖国」も、かなり遠い昔の話ということで片付けられてしまっているようです。憲法が長生きしていると言うことなのでしょうか。オイラもそんなに昔の人ではないと思うんだけどね。
 とりあえず、地方に行けば行くほど、神社の土地が実は自治体のものだったとか、神社の土地が地元の人たち何十人もの共有になっていて身動きが取れなくなっているとか、その逆に、神社名義の土地なのに、なぜか地元の学校が建っていたり、そうした混乱状態が多く見られます。やはり、神社は神社の土地に建てるべきだし、神社の財産は神社が管理すべきだと考えます。最高裁も、結局はそうした当たり前のことが言いたいだけなんじゃないですかね。
 それにしても、大法廷は迫力ありますね。