なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

医療観察法

 医療観察法という法律があります。「医療」と名のつく法律なのに、医者でも知らない人が多いというこの法律は、精神病などで犯罪を犯した人について、濃密な治療を行おうという法律です。もともと、精神病で犯罪を犯した人の多くは、心神喪失などで不起訴になることが多かったのですが、そうなると、そのまま社会に戻ったり、短期間の入院で済んだりすることがありました。そうした人たちの再犯を避けるため、専門の病院にじっくり入院させて治療をしようというのがこの法律の趣旨でした。
 しかし、こうした考え方を推し進めていくと、精神病で犯罪を犯した人は、ずっと病院に閉じ込めておけばよいとか、身寄りがなくて見守る人がいないようなケースでも、老人ホーム代わりに入院させればよいのではないかとか、そうした安易な発想が生まれがちです。
 もちろん、この法律に基づく入院命令自体は、裁判所が出すことになっていて、そこで厳重なチェックをするということになっています。
 ただ、今の裁判所に、患者の人権を守るという意識があるでしょうか。結局は、外に出して再犯が起きたら裁判所の責任なるのでは、ということで、安易に入院命令を出して頬被りするようなそうした意識になっていないでしょうか。
 今日はその勉強会を弁護士会でやりました。本当のことをいえば、こうした勉強会に裁判官が参加するなどしてディスカッションできれば、もっと有益な議論ができそうなんですけどね・・・。