なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

「国益」という語の気持ち悪さを、政治家はまったく感じないのか?

 この日記にはりつけてある部品に、「あわせて読みたい」というブログパーツがあります。今日、なにげなくそこを見ていたら、見慣れない日記があったので覗いてみました。ここに表示されているのは、モバイラーをはじめとする「同好の士」であることが多いのですが(^^;)、今日は珍しく政治家のブログが。
 そこを読んでいて気持ち悪かったのは、民主党の審議拒否について触れたくだり。ブロガーである衆議院議員氏は、民主党が審議拒否して、北朝鮮の制裁措置を盛り込んだ法案が通らなくなったことについて、「政権交代を言うのであれば、まずは国益を第一に考えて欲しい。与党、野党関係なく、国益を損なうようなことは厳に慎むべきだ。」と論じておられます。
 しかし、そもそも「国益」ってなんですか。「国益」って誰が定義して、「国益」に反しているかいないかを誰がどうやって決めるのでしょうか。北朝鮮への制裁ができなくなることには残念な気持ちはありますが、それで誰のどのような利益が害されるのでしょう? そして、その害された利益がなぜ「国益」だと言えるのでしょうか? もう疑問符だらけです。
 外交上の利益が国益だというなら、蔵相会議だったか何かの国際会議で、酔っぱらってろれつが回らなくなった国務大臣こそ「国益」を害しているはずだし、そうしたバカ大臣を任命したり罷免したりしている総理大臣や、国民の信を問うことなく政権の座について、一年やそこらでそれを放り出してしまった歴代の総理の存在だって「国益」を害しているとはいえないのでしょうか。
 あるいはまた、郵便局の財産をおかしなやり方でオリックスに売ってしまおうとした西川社長や、そのシステムを作り出した政党に「国益」に反したところはなかったのでしょうか。
 要するに、「国益」なんて用語は、語るべき人によって様々な内実を有するものであり、決まった定義や、その判断方法も存在しない幽霊のようなことばなのです。にもかかわらず、野党を攻撃するのに安易に「国益」という用語を持ち出して、「国益を損なうようなことは厳に慎むべきだ」と言い切ってみても、なんの説得力もないことに、この議員氏は気づかないのでしょうか。
ブログ | 衆議院議員 そのうら健太郎ホームページ(千葉県第5区 市川市・浦安市) 薗浦健太郎