なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

保釈金立替ビジネスは一種の貧困ビジネスか?

 刑事事件で捕まった人が、そのまま裁判にかけられるとき、釈放されて家から裁判に通う場合と、釈放されずにそのまま拘置所から裁判所に連れて行かれる場合の二通りがあります。拘置所に入れられてしまった場合でも、裁判所が認めれば保釈ということで仮に外に出してもらえることになっています。その際、逃亡防止などのため、保釈保証金を裁判所に納める必要があります。逆に言うと、その保証金が納められない限り、保釈が実現することはありません。
 その保釈金の相場はいろいろですが、ごく単純な事件の場合、その金額は100万円から200万円程度でしょうか。もちろん、お金持ちほどその金額は高くなります。
 その保証金は、たいていの場合、外にいる家族などの支援者が用意することになります。でも、貧困などの事情から、まとまったお金が用意できないとき、どうすればいいのでしょうか。保釈をあきらめてしまうしかないのか。
 そこで登場するのが、保釈金立替ビジネスです。たとえば、こちらの組織()では、保釈金を立て替えてくれる代わりに、その手数料をそこに支払います。200万円を保釈金として立て替えてもらう場合、その手数料は5万3000円となっています。年利にして約15パーセントです。一般の貸し金だと、貸し倒れのリスクも高そうですが、保釈の場合、裁判が終われば必ず戻ってきます。没収されるのは、被告人が逃亡したり、保釈の条件を守らなかった場合だけですが、そうしたリスクがなさそうな被告人を選んで立て替えることにすれば、ほとんどノーリスクとさえ言える商売のように思います。
 それにしても、弁護士が理事に入っているとはいえ、どうもうさんくさい感じがしてしまうのは、新しいビジネスモデルに対する生理的な拒否反応に過ぎないのでしょうか。