なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

菅家さんの涙と怒り

静まった会議室のドアを開けると、一人の男性が話をしていた。
テレビで何度も見た、初老の小柄な男性の姿があった。足利事件でほんの1週間前まで刑務所に囚われていた、菅家さんがいた。
菅家さんは、泣いていた。警察から受けた暴行や暴言に。証拠がある、とだけ告げて、自白を強要した警察官に。
菅家さんは、怒っていた。聞く耳を持たず、ひたすらに自分を追い詰めた検察官に。
菅家さんの悔し涙を見ながら、怒りに震えた声をききながら、ぼくはそのあまりの重さに、ただただ、打ちのめされていた。

菅家さんの隣にいるもう一人の男も怒っていた。弁護人の佐藤弁護士だ。
菅家さんが釈放される朝、当局は電話でそのことをつたえてきたという。
しかし、昨日の検察庁も、今日の栃木県警も、謝罪コメントを出すにあたって、菅家さんや佐藤弁護士になんの連絡もなかったという。17年もの間、苦め続けておいて、なぜ直接、頭を下げようとしないのか。

菅家さんのたたかいは、まだ終わらない。今は静かに、応援していたい。

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