なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

今日の裁判例〜中国製ストーブの使用によって生じた人身事故と輸入業者の責任

 中国製の電気ストーブを購入して、1ヶ月間、使用したところ、有害な化学物質が発生して中枢神経機能障害等に罹患したという事故について、輸入業者の製造物責任が認められ、製造物責任法4条1号の免責の抗弁が認められなかった事例。
 東京地裁平成20.8.29判例時報2031号71頁

製造物責任
第三条  製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。

(免責事由)
第四条  前条の場合において、製造業者等は、次の各号に掲げる事項を証明したときは、同条に規定する賠償の責めに任じない。
一  当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと。
二  当該製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がないこと。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H06/H06HO085.html

 (コメント)
 免責が認められる「科学又は技術に関する知見」のレベルは相当に高く、この抗弁が認められるケースは、それこそ従前、学会等でなんらの報告もなかった場合のような、きわめてまれなケースに限られるのでしょう。被害者救済の観点からいえば、当然の判決といえそうです。