なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 他人事ではないかも

 8日午前10時20分ごろ、神戸市中央区橘通2の神戸地裁2階通路で、辻忠雄弁護士(77)=神戸市長田区、兵庫県弁護士会=が男に千枚通しで両手を刺された。悲鳴で駆けつけた地裁の男性事務官(28)が男を取り押さえ、兵庫県警生田署員が傷害容疑で現行犯逮捕した。辻弁護士は軽傷。男は自称、神戸市須磨区一ノ谷町3、無職、由良順司容疑者(60)。「刑務所に入りたかった。傍聴が趣味で、弁護士そのものに反感を持った」などと話しているという。

 県警生田署などによると、辻弁護士が刑事事件の公判で地裁を訪れ、法廷を出て歩いていたところ、いきなり背後から襲われた。由良容疑者は同じ法廷にいたという。辻弁護士は毎日新聞の取材に「男と面識はない」と話した。辻弁護士は大阪高裁判事や神戸地裁判事などを経て、01年に弁護士登録。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090108k0000e040048000c.html

 裁判所の傍聴席は誰でも出入り自由。寝ていてもいびきでうるさいなどよほどのことがない限り注意されることはないから、実のところ、趣味で通っている人も少なくありません。そんな人は、弁護士と検察官の火花が飛び散る場面や、裁判所のつれない訴訟指揮などを目の当たりにしているわけで、少しは弁護士の実情も知っているかと思っていましたが、「弁護士そのものに反感を持った」といわれると、もうがっくりです。
 さいわい、弁護士のけがはたいしたことがなかったようですが、この男を弁護するのも同じ神戸の弁護士なんでしょうねぇ。
 「反感を持った」といわれると、仕事のやりようがありませんが、仲間の弁護士が刺されたとしても、弁護士が嫌いだといわれても、それでもやらなきゃならないのがわれわれの仕事です。弁護士稼業のそうした辛さの部分も、この男だけでなく、一般のすべての人にわかってもらいたいところですね。