なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

ネットワークビジネスを擁護する政治家たちはさっさと辞職を

 民主党の何人かの議員がネットワークビジネスの業界から多額の献金や講演料を受け取り、また、国会で業界を擁護する質問を繰り返していた事実が報道されています。また、消費者問題の担当大臣であるはずの野田聖子でさえ、かつて同様の質問を行っていました。
 国会議員には、それぞれ支持母体があり、また、財界と結びついている与党においては、とくに業界寄りのスタンスをとる議員が多いことは否定できません。しかし、いくら業界寄りといえども、ネットワークビジネスと他の産業を同列に扱うことは、まったく不適当と言わざるを得ません。
 たとえば、自動車や農業といった産業では、その業界が発展することによって国の経済が活性化する一方で、その発展に伴って国民にも様々な見返りが期待できます。安くて性能が良く、環境に配慮した自動車が流通すれば、国民生活はそれに伴って便利になります。農業が充実すれば、自給率が高まって、安全な食品が確実に手に入るようになるかもしれません。ですから、議員が業界寄りの、規制反対の論陣を張って質問などをすることについては、それなりに意味があるといえなくもありません。
 しかしながら、ネットワークビジネスが市民生活に入り込んでいくことで、いったい誰がどのような便益を手にし、国民がどのような利便を受けるというのでしょうか。アムウェイの鍋や自然食品、使いもしないファクスの機械や怪しげな会員権を国民が購入することで、誰がどのように得をするのでしょうか。これらによって金を儲けるのは、ネットワークの上流にいるものだけであり、国民生活にはまったく利便をもたらしません。まさに百害あって一利なしというのがネットワークビジネスであり、そこには、健全な業者と不健全な業者の区別もなければ、まっとうな業界もそうでない業界の区別もありません。いわば存在そのものの許容性が問われるべき分野なのです。同列に扱うべきものではないことを承知でいえば、暴力団と同じようなものです。彼らの存在を容認したり、その内部を健全化しようと考えることがばかげているのと同様に、ネットワークビジネス業界をまっとうな産業と同様に考えたり、その健全化などを議論すること自体がありえない話というべきなのです。
 このことは、ちょっとでも消費者問題をかじったことのある弁護士なら、1年目の弁護士でさえ知っている、もっとも基本的な知識です。国会議員である彼らが知らないはずはないことです。
 要するに、ネットワークビジネス業界寄りの質問をしてきた議員というのは、そうした基本的知識さえ持たないド素人であるか、それとも、それを知ったうえで、あえて業界と癒着して金をむさぼろうとしているかのどちらかであって、いずれにしても、国会議員としての資格を持たないものであることは明らかです。そんな人間が、与党を代表して消費者保護の行政の舵取りをしていこうというのですから、あきれて言葉も出てきません。民主党も似たり寄ったりであり、一人の議員を離党させてすむような簡単な問題ではないことは明らかです。
 マスコミには、ネットワークビジネスの現状について、もうちょっと突っ込んだ被害の実態を報じることを求めたいと思います。