なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

足利事件再審請求を棄却

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 栃木県足利市で1990年5月、女児(当時4歳)が誘拐されて殺害された事件で、宇都宮地裁(池本寿美子裁判長)は13日、無期懲役が確定して服役中の菅家利和受刑者(61)が無実を訴えて裁判のやり直しを求めた再審請求を棄却した。

 数少ない物証だったDNA鑑定について、弁護側は独自の鑑定を行って疑問を訴えたが、池本裁判長は「弁護側の鑑定の証明力は乏しく、(確定判決の証拠となった)DNA鑑定の証明力を何ら減殺させるものではない」とした。弁護側は東京高裁に即時抗告する。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080213-OYT1T00317.htm

 この池本裁判官、かつては広島地裁でも執務していて、そのときの印象はそれほど悪くなかったのですが・・・。
 その裁判官がこうしたつれない態度を取る訳ですから、いかに再審の門が狭いかということですね。もちろん、こうした決定が不当であることは明らかだと思いますので、ただちに抗告をして高裁の判断を仰ぐべきだと思います。

(追記)
 DNA鑑定については、本日付の日弁連会長声明が、その問題点を端的に指摘しています。

本件において、請求人が有罪であることを裏付ける直接証拠は、請求人の自白を除けば、上記のDNA鑑定しかない。上記の最高裁決定は、初めてDNA鑑定の証拠能力を認めたものとされているが、このDNA鑑定は極めて初期の方式に基づいて行われたものであり、DNA型判定のものさしとなるマーカーに狂いがあったことが判明して現在は使用中止になっているなど、その正確性自体に大きな疑念がもたれている。
(中略)
犯人のものとされる精液付着の下着の保全を決定したにもかかわらず、「足利事件」における最大の争点であり、請求人自身も望んでいるDNA型の再鑑定を実施することなく、再審請求棄却の結論に至った裁判所の判断は、請求人の主張に対して真摯に答えようとしない極めて不当なものというほかない。

http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/080213.html