なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 朝鮮総連の会館は誰のものか

在日本朝鮮人総連合会朝鮮総連大阪府本部傘下の13支部が入る不動産の所有者だった総連系企業「共栄商事」(大阪市東淀川区、6月破産)が、99年に13支部の不動産の所有権を別の総連系企業などに移したのは資産隠しに当たるとして、破産管財人が移転登記の取り消しを求める訴訟を近く大阪地裁に起こす。同本部は「寄付で得た個人名義の不動産を便宜的に共栄商事の名義にしており、そもそも共栄商事の資産に当たらない」と反論している。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200709270082.html

 要するに、共栄商事という会社で登記したのは「便宜的」なものであって、共栄商事が所有の実態を持っていたわけではない、といいたいようです。では実質的な所有者は誰かというと、「寄付で得た」財産で買ったものだから、朝鮮総連大阪本部のものに他ならないということになりそうです。
 ん? そうすると、東京にある朝鮮総連の本部はどうなるのでしょうか。

 整理回収機構が、在日本朝鮮人総連合会朝鮮総連)から約627億円の債権を回収するため、朝鮮総連中央本部(東京都千代田区)の登記上の所有者である合資会社「朝鮮中央会館管理会」に対する強制執行(競売)を認めるよう求めた訴訟の第1回口頭弁論が21日、東京地裁であった。
 機構側は、「登記はあくまで便宜上のもので、実質的な所有権は朝鮮総連にある」と主張し、強制執行に必要な執行文を付与するよう求めた。
 一方、訴訟の被告となった同管理会の代理人によると、管理会側は「中央本部の名義は管理会で、朝鮮総連とは違う。両者は一体ではない」と反論、機構の訴えを棄却するよう求めた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070921i315.htm?from=navr

 こちらでは、「管理会」というのは朝鮮総連の本体とは独立したもので、独自に所有権を有していると主張しているようです。
 だとしたら、大阪の「共栄商事」も、「管理会」と同じく独自の所有権を有することになりませんか?
 ダブルスタンダードも甚だしいですね。なりふり構わない主張をせざるを得ない立場なんでしょうが・・。
 実態から言えば、「管理会」も「共栄商事」もいわばダミーに過ぎず、実際は、「寄付で得た」資金を基に総連自体が取得しているとうのが正確だと思います。ただ、我が国の法律上、「朝鮮総連」という名称で登記などができないので、便宜上、「管理会」や「共栄商事」といった会社を立ち上げて、その会社の名称で登記しているのだと思います。
 そうすると、大阪での総連の主張が本音であって、東京での総連の主張は建前論ということになりますね。