なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 「前歴」判断 酒気帯び運転、弁護士を起訴 

 飲酒運転で追突事故を起こしたとして、地検支部は20日、弁護士会所属の弁護士を業務上過失傷害と道路交通法違反(酒気帯び運転)の両罪で起訴した。容疑者が約3年前に酒気帯び運転の罪で罰金20万円の略式命令を受けた「前歴」があったため、同支部は「酒気帯び運転は罰金刑となるケースが多いが、最近の飲酒運転に厳しい社会的風潮、弁護士の社会的責任を踏まえて判断した」としている。

 弁解の余地はありません(^^;)。
 ただ、猛烈に反発したい箇所がひとつ。
 「弁護士の社会的責任を踏まえて判断した」というセリフ。
 弁護士が依頼人の金に手を付けたとか、依頼人や相手方に暴力を振るったなどというのであれば、「弁護士の社会的責任」を指摘されてもやむを得ないと思います。しかし、弁護士は一市民であることに変わりはありません。税金で食わせてもらってる(嫌な表現ですが)公務員でもありません。法の執行者である警察官や検察官とも違います。
 「弁護士の社会的責任」というものがあるなら、「建設作業員の社会的責任」もあるだろうし、「本屋の店員の社会的責任」もあるし、「モバイラーの社会的責任」だってあるわけです。要するに、みんなそれぞれに社会的責任があるわけですが、それはあくまで、その独自の領域において存在するものではないでしょうか。
 業務とは全く関係のない私的な自動車運転について、それを行ったのが弁護士だからといって、特別扱い(特別に重く処罰される)されるいわれはないと考えますが。
 もし、こうしたことを繰り返すのであれば、それは、「弁護士の品位を損なうもの」として、彼の所属する弁護士会が、自分で懲戒処分の対象にすればいいことだと思います。検察官などに「社会的責任」をうんぬんされるのは筋違いかと。
(2014年12月10日改訂)
 引用した新聞記事には,当該弁護士さんの実名等が掲載されており,このエントリーではそのままコピペして掲載しておりましたが,このたび,同弁護士さんから,削除の要請がありましたので,それに応じて実名等の部分を削除いたしました。