なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

クレジット会社のキャッシング、ショッピングの利率

 id:MAROONさんのところで話題になっていることについて。
 クレジットカードでもお金が借りられます。いわゆる「キャッシング」というやつです。
 この利率が、また、とんでもなく高かったりします。たとえば、さっと検索して見つかったエキサイトというポータルサイトが発行しているクレジットカード(実際はオリコが運営しているらしい)では、「キャッシング手数料」として「26.4〜27.6%」という表示があります。借り入れ元金にかかる利息ですから、普通に考えれば、異常な高金利ですね。
 クレジット会社は、これについて、ここで顧客から徴収するお金は「手数料」であって「利息」ではなく、したがって、「高金利」という批判はあたらない、なんていう抗弁をしていたことがあります。
 彼らの論拠はこうです。たとえば、普通の借金は、通常、借りた元金に利息をつけて分割で支払っていきます。たとえば、年利24%(月利2%)で100万円を借りたとすると、1カ月後には2万円の利息が発生しています。そこで、借主は、10万円を返済したとすると、2万円が利息にあてられ、8万円が元金に充当されます。したがって、その時点での元金は92万円になります。そしてさらに1カ月後には、これに2%(1万8400円)の金利がつくことになります。こうして、月々の返済をしていき、11カ月後に返済が完了することになります。
 しかし、わが国には、利息制限法というありがたい法律があり、100万円の借金の場合、最高金利は15%とされています。したがって、本来であれば、1カ月後に払うべき金利は1万2500円でよかったはずで、7500円は払いすぎていたことになります。これを業者から取り返そうというのが今のひとつのブームになっています。
 ところで、クレジット会社が行うキャッシングは、通常、100万円という大きなものではなく、数万円というきわめて小口の資金を予定しています。また、上記のように延べ払いをしていくのではなく、通常、次のクレジットカード利用代金の決済日に、一括して口座から引き落として決済します。たとえば、上記のエキサイトカードの年利が26.4%であるとすると、たとえば、6月28日に5万円をキャッシングし、引き落とし8月10日に決済した場合、42日間の借り入れであるので、1518円の利息が発生し、5万1518円が引き落とされることになります。
 クレジット会社は、このように、少額を短期に一括で決済するシステムであるから、ここで徴収する「1518円」はクレジットの「手数料」であって、「利息」とは性質が違い、したがって、利息制限法の適用はない、などといっていたのです。
 さすがにこうした主張は今では(少なくとも弁護士が交渉する案件では)なくなってきていますが、たとえば、裁判でクレジット会社がお客に請求するときには、過去のキャッシングについては「終わったこと」として裁判の俎上にあげることなく、現在の残高だけを請求してきます。こうしたキャッシングがクレジット会社の収益の柱になっていることは想像に固くありませんが、やはりこのようなシステムは改められるべきでしょうね。
 なお、これとは別に、分割払いをしたときのクレジット手数料は、依然として高率であり、これについては、いまだに改められる気配がありません。たとえば、もともと30万円くらいの商品を分割払いで買うのに、実質年利が25%くらいの手数料をオンされているケースもざらにあります。これはクレジット会社がお客に直接お金を渡すわけではないので、純然たる「手数料」だというのが現在の扱いのようです。これなどは、クレジットを使わず、その分借金したほうがよい、ということになりますよね。