なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

刑事手続きへの被害者の参加について

 本村さんをはじめとする被害者グループの種々の活動の成果もあって、刑事手続きに被害者が参加する方向で検討が進められています。とくに、刑事裁判に被害者(遺族)が加わって、被告人に直接、質問などを行う権利が認められる方向です。
 なんでも反対するようで心苦しいのですが、この点についても慎重に考えてほしいと思います。
 もちろん、何の争いもない事件であれば、こうした制度を認めても弊害はなさそうです。ですが、被害者が納得しないのは、そうした事件ではないでしょう。おそらく、被告人が無罪を争っていたり、黙秘していたりして、真相が被害者には分からないというケースが多いのではないかと思います。
 でも、そういう場合、被害者が質問したとして、被告人の答えに被害者が納得するのでしょうか。無罪を争っているケースであれば、被害者の意に反した回答が返って来るだけでしょうし、黙秘の場合でもそのまま沈黙が続くのでしょう。そうであれば、現在の検察官による被告人質問でも十分なように思います。被害者自身が法廷で意見を陳述することは、現在のシステムでも認められています。この制度を活用することでは不十分なのでしょうか。