なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 <元受刑者>「手紙差出不許可は違法」 最高裁で逆転勝訴

 刑務所の処遇改善を訴える手紙を出すことを違法に制限されたとして、熊本刑務所に服役していた男性が、国に慰謝料15万円の支払いを求めた国家賠償訴訟の上告審判決が23日、最高裁第1小法廷(泉徳治裁判長)であった。判決は「手紙の制限は原則的に許されない」との初判断を示したうえで、請求を棄却した1、2審判決を破棄、国に1万円の支払いを命じた。男性の逆転勝訴が確定した。受刑者の処遇に影響を与えそうだ。
 男性は現住建造物等放火の罪で懲役18年の実刑判決を受け、89年に同刑務所に収容された。99年に報道機関に施設内の処遇の調査、報道を求める手紙を出そうとしたが、刑務所長に不許可とされたため提訴した。
 監獄法では「特に必要があると認められない限り、受刑者は親族以外との手紙のやり取りを許されない」と規定しているが、男性は「表現の自由を保障した憲法に違反する」と主張。第1小法廷は違憲主張を退ける一方「憲法の趣旨を考えると、受刑者の更生や刑務所内の秩序の維持などに放置できない障害が生じる場合に限って手紙の制限が認められるというべきで、監獄法の規定も同様の趣旨」との初判断を示した。そのうえで「男性に手紙の差し出しを許可しても、本人の更生や刑務所の秩序維持に障害が出るとは言えず、不許可は裁量権の乱用」と述べた。【木戸哲】
毎日新聞) - 3月23日21時46分更新

 刑務所の裁判で最高裁が受刑者側を逆転勝訴させるなんて、記憶にある限りでは初めてです。
 刑務所は、この記事にあるように、原則として親族あてにしか発信を許さず、弁護士あてでさえ、制限をすることがあります。たとえば、弁護士あてに、「こういう刑務所の実態について、マスコミに情報提供するなどしてください」などと書いただけで、「弁護士に対する相談とは認められない」とかいう訳の分からない理由で不許可とされてきました。刑務所は、ようするに、「刑務官が暴力団員と癒着している」とか「ごはんにネズミの糞が混じっていた」とかいう被害の訴えを、外に出したくなかったのです。
 なので、「マスコミに・・」なんていうとすぐ不許可にするんですね。
 これからは、そういう運用も改められそうで、少しは風通しが良くなりそうです。