なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 実態把握の法的手段拡充を 保護観察は「制度疲労」

 再犯事件の続発を受け、保護観察制度を見直すため法務省が設けた「更生保護のあり方を考える有識者会議」(座長・野沢太三元法相)は26日、対象者の生活実態を把握する法的手段の拡充や、再犯のリスクに応じた新しい観察制度の検討を求める中間報告を杉浦正健法相に提出した。
 保護観察の現状に対し「制度疲労を起こし、国民から遠く離れた存在になっている」と厳しい認識を示す一方で、具体策の多くは意見を集約できず委員の個別意見を例示するにとどまり、改革の明確な道筋は示せなかった。一般からの意見募集を経て来年5月に最終提言をまとめる。
 中間報告は、制度の現状について「地域社会の人間関係が濃密だった時代につくられたのに、社会の変化を踏まえた見直しがされず、時代の要請に対応できない部分が生じている」と指摘。専門職員の保護観察官が民間の保護司らに依存し過ぎていると批判した。

保護観察という制度は、これからますます重要性が高まると思われます。要するに、犯罪者が社会復帰する際に、何らかのクッションというか、社会とのつなぎ目の役を果たす機関が必ず必要となるからです。これがうまく機能しないと、刑務所をを出てもすぐに再犯を犯したりします。最近では、犯罪者に向けられる社会のまなざしはいっそう厳しいものになっています。ですから、なおさら、こうした更生保護行政のあり方には注目せざるを得ません。
現状では、民間ボランティアである保護司さんに依存した更生保護システムとなっています。もう、そうした民間の篤志家に頼るというシステムそのものを見直し、国家が予算を使ってこうした方面に力を注ぐべきなのではないかと思うのです。
こういう風に書くと、「なぜ犯罪者に税金を?」みたいな反応が予想されます。あらかじめ書いておくと、こうした形で予算を使うことで、犯罪者の再犯が抑制されるなら、第2,第3の被害者が出ずに済むわけだし、再犯者をまた刑務所に入れることによる衣食住のコスト、刑務所職員のコストなども無視できなくなるわけです。社会的コストの観点から見ても、ここ(更生保護)にコストを費やすことは、決して無駄になるものではないと思います。
この有識者会議がどこまできちんとした意見を出せるかどうかは疑問ですが、結論的には国費を投じて更生保護施設を国営で整備するしかないのではないかと思っています。