慰謝料の相場

　慰謝料というのは、ある人が受けた精神的苦痛を金銭に見積もって賠償するものです。たとえば、名誉棄損とか、離婚とか、交通事故とか、そのようなシーンでは必ずといってよいほど登場します。
　実は、わが国の裁判で認められる慰謝料の額は、みなさんが想像しているよりもずっと低いのです。大雑把にいってしまえば、どんな事件であれ、慰謝料なんてせいぜい数10万円〜500万円くらい。死亡事故の慰謝料でさえ、2500万円程度です。もちろん、死んでしまっては受け取れないので、遺族が受け取るわけですが。
　もう少し、慰謝料の相場を上げていくようにしないと、それこそ、他人に精神的苦痛を与えたもの勝ちのような雰囲気になります。

慰謝料算定の実務

　この本は、およそ平成13年くらいまでの資料を元に、類型別の慰謝料相場や考え方を整理したものです。弁護士などの実務家に限らず、目を通しておくと新たな発見があるかもしれません。
　また、後藤勇「最近の裁判例から見た慰謝料額（上）」判例タイムズ1181号44頁（2005年）も、コンパクトにまとめられています。