なるしすのブログ

地方の弁護士の日常を,あれこれと書くつもりのブログです。

 少年を10日間拘置、警察・検察・地裁がトリプルミス(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051020-00000004-yom-soci

 東京都港区で都条例違反容疑で逮捕された少年(19)について、東京地検少年法の規定に反して拘置請求したうえ、東京地裁も拘置を認めたために、少年が10日間にわたって不当に拘置されていたことが20日、わかった。

 正規の手続きでは、この少年は逮捕後に東京家裁に送致されなければならなかったが、現行犯逮捕した警視庁も誤って東京地検に送致しており、警察、検察、裁判所が三重のミスを犯した形だ。
(中略)
 円谷静明・警視庁生活安全特捜隊長の話「極めて遺憾で関係者におわび申し上げる。指導を徹底し再発防止に努めたい」

 id:MAROONさんのところで知りました。祭りに夢中になって、仕事関係のニュースも見落とすところでした。
 この問題、あらためて言われないと、気づかないかもしれません(^^;)。
 勾留(なぜか新聞用語では拘置)するには、裁判官が少年に直接勾留質問という手続きをして、その弁明を聞いたうえで決定をすることになっています。
 警察はともかく、裁判所のミスが一番大きいと私は思う。裁判所さえ間違えなければ、少年が不当に拘束されることはなかったはず。
 その意味では、裁判官のコメントも欲しかったし、読売新聞も裁判所に取材くらいをして欲しいです。
 それにしても、警察の「関係者におわび」というコメントはどうよ。これではまるで、検察庁や裁判所にも誤っているような印象を与えるぞ。頭を下げるべきは少年に対してではないのでしょうか。
(追記)
 朝日新聞のサイトには、裁判所のコメントもありました。
http://www.asahi.com/national/update/1020/TKY200510200165.html

伊藤鉄男・東京地検次席検事は「初歩的なミスで誠に申し訳なく思う」としている。また、東京地裁の永井敏雄・所長代行も「誠に遺憾で、裁判所として申し訳ないことと思う」と陳謝した。

 ついでにいえば、裁判官は組織から独立して裁判を行うタテマエなので、こういう場合にも、裁判官本人がコメント出すのが筋じゃないでしょうか。
 裁判官がおかしな訴訟指揮をした場合など、裁判所に抗議をしても、裁判所の正式回答は、「個別の裁判体の問題なので、コメントできない」なんて言って逃げるのですから。